一口にフィアット600のドライブシャフトといっても、いろいろあって現物を見ないとわからない事も結構あります。まずホイール側のスプラインと呼んでいる溝の数ですね。600や初期のダブルバブルなどは10スプラインで、その後22スプラインになります。ただ,例によっていつから変わったのかはシャーシー番号などではわかりません。600Dになると22スプラインでシャフトの根元が太くなります。
さらに,それらに合わせピンのブロック(画像参照)の大きさも異なり、さらにややこしい事になります。アバルトの5速ミッションなどは、さらに違うサイズのブロックを使いますので要注意です。
何で少しずつ違うものを使うのか、というよりも設計したのか不思議ですね。きっと理由があって改良を重ね進化したのでしょうね。
画像は上から600/750後期、不明、600D用です。
私がフィアット600系のメカに詳しくなったのは,その昔アメリカにグレッグ・シュミットというフィアット600/850の専門家がいて、彼が非常に詳しいイラスト付きのパーツカタログを制作していたからです。全て手書きで細かい部品まで網羅してあってすごく参考になりました。随分パーツを買いましたし、アバルト車も何台か買いましたが,ある時ストックしてあるパーツやクルマを全て売って、仕事を辞めてしまいました。私も全てまとめて買ってくれといわれましたが,何しろ数10トンのパーツやクルマですからね!日本の都会じゃちょっと無理です。今考えると惜しい事をしましたが・・・・・・
何でも,フィリッピン人の奥さんと仲違いしたのが原因らしいです。やっぱり家族は大事ですね。
そう云えばずっと以前,Autobianchi A112 Abarth の70Hp エンジンにコンバートされた850TC のドライヴシャフトが,トラクションに負けてネジ切れてしまったというケースの修理をやったことがあります.それは丁度ピンとシャフトの嵌合部が,雑巾を絞るようにネジレて折れておりました.普通ならハブ側ダンパーやスプラインが先に逝く筈なのですが…
仰せの通り,600系ドライヴシャフトのピン嵌合部は年を追うに従って漸次強化され,応力集中を避けるためか面取りもされ,たぶん熱処理にも改善の手が下されて硬化もされているのでしょうが,それでもやはり基本が600D の寸法系では限界だったと見えます.
Abarth の5速はどうだったのか記憶曖昧なれど,寸法は FIAT850に似ていたような気もするのですが,リリース時期を考えるとそれは辻褄が合わないような気もしますし,熱硬化処理は外見からは確かめるスベもありませんでした.
(FIAT が Abarth からのフィードバックを850に反映させたのではないかという憶測もあり得ますが)
ドライヴシャフトがネジ切れる事例など,コブラぐらいしか聞いた事がなかったので(笑),絶対出力は小さくとも,RR レイアウトということもあるのでしょうか,加わるトルクは大きいのだなぁと,妙なところで感心したものであります.
投稿情報: 「い」 | 2007年7 月 2日 (月) 20:34
さすが「い」さん詳しいですね。
先日、名古屋のA112アバルトエンジンの850TCオーナーから、前述のピンが折れると言う話しを聞いた所でした。ハブ側はよく聞きますが,ピン側はあまり聞いた事がなかったので,金属疲労とかブロックのサイズ違いではないかとか、説明したのですが要するにエンジンパワーに見合わないパーツなのですね!
ハブ側がU-ジョイントになっているアバルトレプリカは商品化されているのですが,ミッション側は同じピンのままです。これでは意味ないですよね。
5速用はミッション側も対策済みのドライブシャフトキットがあるのですが,4速には付きません。と言う事で根本的解決には至りません。どうしたものか?
850のパーツは確かに使っていそうです。ドライブシャフトに関しては、5速用はピンが太くなっているので,多分その辺のパーツは互換性がありそうです。今度確かめてみます。
投稿情報: MT4 | 2007年7 月 3日 (火) 11:41